2016年 12月 16日
不競 平成27年(ワ)7051号 ハイ・ベック事件 |
◆衣類用洗剤の商品名が周知な商品等表示(不§2①1)と判断されて、差止請求/損害賠償請求が認められた事件。
【不正競争防止法2条1項1号、商品等表示、差止の必要性、表示抹消、洗剤廃棄】
「3 争点2(不正競争防止法に基づく請求が認められるか)について
(1) 原告表示は原告の商品等表示として周知か(争点2-ア)について
ア 商品等表示性について
前記1の認定事実によれば,原告は,本件営業譲渡以降,原告表示を原告商品の商品名の一部に使用したり,商品名として直接使用しない場合にも,商品名付近に同表示を付すなど,「ハイ・ベック」シリーズの商品であることを明示して販売していることが認められる。このような原告の販売態様,宣伝態様等を総合すると,原告表示は,原告商品に付され,あるいは原告の営業に際して使用されているといえるから,商品又は営業の出所を表示するものというべきであって,商品等表示に当たると認められる。
イ 周知性について 原告が原告表示を付した原告商品を全国に所在する少なからざる販売代理店に販売したり,インターネットやテレビによる通信販売を通じて,多数の一般消費者に販売してきたこと,その他前記1の認定事実からすると,原告表示は,原告の商品又は営業を表すものとして,需要者(ウールマーク衣料の洗剤等を販売する小売店,同洗剤等を使用する全国の一般消費者)の間に広く認識されていたといえ,その状態は現時点においても継続しているものと認められる。
この点,被告は,原告表示が被告の商品等表示であったから,原告の商品等表示とはいえない旨主張するが,前記1の認定のとおり,原告は,本件営業譲渡契約により,被告との関係では,譲渡前被告商品の仕入れ・販売に関する権利を全て正当に承継したものであって,原告表示についてもこれを当然に使用する権利を承継しているものとみるべきである。また,この点を措くとしても,本件営業譲渡後,少なくとも被告商品の販売が開始された時点において,原告表示は,原告の商品又は営業を示すものとして広く需要者に認識されていると認めることができるから,被告の主張は採用することができない。
(2) 被告表示は原告表示と類似し,混同を生ずるか(争点2-イ)について
ア 原告及び被告がいずれも洗剤等の販売事業をしていること,原告表示が周知であることは,既に説示したとおりである。
イ 被告表示1と被告表示1とは,ほぼ同一の表示であり,少なくとも両者が類似することは明らかである。
ウ 原告表示2と被告表示2とは,色が異なることを除き,ほぼ同一の表示であり,両者は,類似している。
…略…
オ 原告と被告は,その商号も同一であること,実際に,原告商品と被告商品は,「ハイ・ベック」との文字ないし文字部分が共通することで,一般消費者に誤認が生じていることは,前記1の認定事実のとおりであることからすると,被告の商品及び営業と,原告の商品及び営業との混同が生じており,また,混同のおそれがあるというべきである。 」
サンワード、サンワード
(東京地裁29部嶋末裁判長、平成28年12月7日)
(2016.12.16. 弁理士 鈴木学)
by manabu16779
| 2016-12-16 18:32
| 不正競争防止法
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