2016年 12月 21日
特許 平成27年(ワ)22060号 シャークフィンアンテナ事件(第2) |
**和解(2017.1.18. 追記)**
【文言侵害、先使用権、特許法79条、発明の同一性、無効理由、記載要件、新規事項追加、サポート要件、進歩性、設計的事項、損害額、特許法102条3項、特許用語「被嵌」の解釈】
(先使用権について)
「3 争点 (先使用の抗弁の成否)について
被告は,本件特許の原出願日前に,日本国内において,本件発明の構成要件を備えた被告先行製品の発明を完成させ,その事業の準備をしていたので,本件特許権につき先使用権を有すると主張する。
そこで,まず,被告先行製品が本件発明の構成要件を備えているかについて検討するに,構成要件Bは「アンテナケースが被嵌され・・・るアンテナベース」であるところ,「被嵌」とは特許技術用語として「被せるように嵌めること」という意味を有しており(甲8),「嵌める」とは一般的に「穴・枠・溝などの内側に,ぴったり合うように物を入れること」を意味する用語である(甲12)。また,本件明細書によれば,本件発明のアンテナ装置は,従来技術のように大型のベースパッドを用いることなく,アンテナケー
スの下面を絶縁ベース上に固着することによって,アンテナケース内部を防水構造としたものである(段落【0019】)。そうすると,構成要件Bにいう「アンテナケースが被嵌され」とは,アンテナベースないしこれを構成する絶縁ベースが,これに被せられるアンテナケースの下面と略同一の形状であり,アンテナケース内の収納空間を塞いでいることをいうと解するのが相当である。
一方,証拠(乙13,16)及び弁論の全趣旨によれば,被告先行製品のアンテナケース(乙14の1)の下部にはアンテナベースに相当すると解し得るシャーシ(乙14の11)及びベース(乙14の10)を備えているが,アンテナベース部分の底面積はアンテナケースの下面開口部の3分の1程度しかなく,ケースをシャーシ及びベースに被せても,ケース内の収納空間が塞がれるものでないこと,被告先行製品においては外周リブ及び3個のOリングにより防水構造が達成されていることが認められる。そうすると,被告
先行製品は「アンテナケースが被嵌され・・・るアンテナベース」を備えるものでなく,本件発明のアンテナ装置とは異なるというほかない。
以上によれば,その余の点について判断するまでもなく,被告の先使用の抗弁を採用することはできない。」
原田工業、ヨコオ
(東京地裁46部長谷川裁判長)
(2016.12.21. 弁理士 鈴木学)
by manabu16779
| 2016-12-21 18:19
| 特許裁判例
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