2017年 01月 17日
特許 平成27年(ネ)10067号 美顔器事件(侵害訴訟控訴審) |
◆炭酸ガスを含有させて化粧水を吹き付ける装置の発明の進歩性が問題となった事件。容易想到、進歩性無し。
【進歩性、組合せ、動機付け、特許法104条の3、周知技術】
「 また,控訴人は,上記乙1文献の「問題点を解決するための手段」の記載は,工業的に吹き付けることの例として塗料噴霧が挙げられているにすぎず,技術分野が全く異なる塗装装置のあらゆる技術が適用容易であるとはいえないし,乙1発明は,炭酸混合化粧水を生成して,これを顔肌に吹き付ける美顔器といった技術思想を持たず,乙4発明もこのような技術思想を持たないから,毛細血管に作用して血管を拡張し,皮脂や汚れ等の残骸物を顔肌からソフト的に遊離させて取り除き,より若々しく美しい顔肌を指向するという作用効果を奏することを企図して,炭酸混合化粧水を生成するため,使用目的も異なる乙1発明に乙4発明を適用する動機付けがあるとはいえない,と主張する。
しかし,上記乙1文献の記載は,化粧料吹付け装置とは異なる技術分野であった塗料を噴霧する技術を化粧料の吹付けに応用することに着眼したことを明示している上,乙4発明は乙1発明と同様に,高圧ガスを用いて塗料(乙1発明では化粧料)を噴霧させるものである。また,本件特許の原出願日前に頒布された以下の文献①~⑥の記載からすれば,化粧水に血行促進のために炭酸ガスを含有させることは,本件特許の原出願日前の周知技術と認められるから,炭酸混合化粧水を顔肌に用いるために,乙1発明に乙4発明を適用することは容易であったというべきである。 」
遊気創健美倶楽部、MTG
(知財高裁2部清水判事、平成28年9月28日)
(2017.1.16. 弁理士 鈴木学)
by manabu16779
| 2017-01-17 08:48
| 特許裁判例
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