2017年 02月 06日
特許 平成27年(行ケ)10249号 葉酸代謝拮抗薬事件 |
◆医薬品の発明に関し、進歩性、記載要件(実施可能要件/サポート要件)に係る無効理由の有無が争点となった事件。
【進歩性、動機付け、サポート要件、実施可能要件、区別説⇔表裏一体説】
(実施可能要件 -規範-)
「 ⑴ 実施可能要件について
ア 特許法36条4項1号が実施可能要件を定めた趣旨は,明細書の発明の詳細な説明に,当業者がその実施をすることができる程度に発明の構成等が記載されていない場合には,実質において発明が公開されていないことになり,発明者に対して特許法の規定する独占的権利を付与する前提を欠くことになるからであると解される。
本件発明は,物の発明であるところ,物の発明の実施とは,その物の生産,使用等をする行為であるから(特許法2条3項1号),物の発明について上記実施可能要件を充足するためには,明細書の発明の詳細な説明において,当業者が,明細書の発明の詳細な記載及び出願時の技術常識に基づき,過度の試行錯誤を要することなく,その物を生産し,かつ,使用することができる程度の記載があることを要する。 」
(サポート要件と実施可能要件とは同じ理由で良いか否か)
「ウ 丙事件原告は,サポート要件違反と同じ理由により,本件明細書の記載は実施可能要件に反する旨主張するが,本件明細書の発明の詳細な説明の記載が実施可能要件を充足するか否かは,当業者が,同記載及び出願時の技術常識に基づき,過度の試行錯誤を要することなく,その物を生産し,かつ,使用することができる程度の記載があるか否かの問題である。他方,サポート要件は,特許請求の範囲の記載要件であり,本件特許請求の範囲の記載がサポート要件を充足するか否かは,本件特許請求の範囲に記載された発明が,発明の詳細な説明に記載された説明であり,同記載及び出願時の技術常識により当業者が本件発明の課題を解決できると認識し得るか否かの問題であり,実施可能要件とは異なる。よって,丙事件原告の上記主張は,それ自体失当である。 」
沢井製薬、 テバ ファーマスーティカル、 ホスピーラ、イーライリリー
(知財高裁4部高部判事、平成29年2月2日)
◆関連裁判例
・平成28年(行ケ)第10017号、平成28年(行ケ)第10070号、平成28年(行ケ)第10001号、平成28年(行ケ)第10018号、平成28年(行ケ)第10082号
by manabu16779
| 2017-02-06 20:33
| 特許裁判例
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