2017年 03月 10日
特許 平成26年(ネ)10032号 発光ダイオードプレスリリース事件(不競法2条1項14号関連) |
◆LED訴訟に関するプレスリリースが虚偽事実告知流布(不競法§2①14)に該当するかが争点となった事件。特許権侵害の成否、訂正要件、無効理由など。訂正要件として、通常実施権者からの承諾(特§127)は知財部長などによる承諾でも良いと判断。
【発光ダイオード、訂正要件、特許法127条、通常実施権者、承諾(代表取締役、部長)、進歩性、 特許4530094、権利の有効性、虚偽事実告知流布、不正競争防止法2条1項14号、技術的範囲、特§70】
(通常実施権者からの承諾)
「 (イ) 通常実施権者の承諾について
控訴人は,本件特許を含む被控訴人保有の知的財産権について,被控訴人は,…に対し,通常実施権を許諾しているところ,本件再訂正について,上記各社から承諾を得ていないから,本件再訂正は認められない旨主張する。これに対し,被控訴人は,ライセンスの内容について秘密保持義務を負っているから,その内容について明らかにすることはできないと主張する。
そこで,検討するに,●●(略)
以上の事実によれば,被控訴人との間で,提携,クロスライセンス及び和解等をした企業は,(略) ●●であると認められる。
そして,証拠(乙84,85)及び弁論の全趣旨によれば,(略) ●●について,本件特許について,本件訂正についての審判請求(乙30)がされた平成24年12月17日よりも前に,被控訴人が保有する特許の訂正に関して包括的な承諾を得ていたものと認められる。…についても,被控訴人が保有する特許の訂正に関して包括的な承諾を得ていたものと認められる。
控訴人は,事実実験公正証書(乙85)において,(略)●●については,いずれも代表取締役等代表権を有する者の記名押印はなく,訂正に関する承諾権限があることの立証はない旨主張する。
しかし,本件再訂正のような特許請求の範囲を減縮する訂正は,特許権者が特許の無効理由を避けるために,その必要に応じてなすのが通例であり,訂正の内容は,特許の専門的,技術的事項に関するものが多く,これを承諾するか否かは,各社の代表取締役等の代表権者が知的財産部長等に委任してその判断に委ねるのが合理的であり,通例であると解されるところである。そして,上記事実実験公正証書は,上記各社が訂正に関し承諾したことを上記各社の知的財産部長等の担当者が確認した旨をその内容とするものであるから,これによれば,上記各社とも,その知的財産担当部長等の担当者が訂正に関する承諾という事項について,その代表者から委任を受けており,その上でこれを承諾したと推認するのが合理的であり,これらの者が各社代表取締役等の代表権を有する者でなかったとしても,それによって上記各社が訂正に関し承諾したとの認定が左右されるものではない。したがって,控訴人の上記主張は採用することができない。
(略)
以上によれば,被控訴人は,本件特許の訂正について,(略)●●から特許法127条の承諾を得ていたものと認められる。 」
億光電子工業、日亜化学
(知財高裁1部設樂判事、平成29年1月18日)
(2017.3.10. 弁理士 鈴木学)
by manabu16779
| 2017-03-10 21:53
| 特許裁判例
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