2017年 03月 16日
特許 平成28年(行ケ)10172号 エンジン制御装置審決取消訴訟事件 |
◆エンジン制御装置についての機械構造系の発明の進歩性が争点となった事件。容易想到でない、進歩性肯定。
【無効審判、進歩性、特許法29条2項、技術常識、構成全部開示、訂正】
「イ 相違点eの容易想到性について
原告は,本件発明1は,引用例1及び甲3ないし5に記載された技術常識に基づいて引用発明2Aから容易に想到できた旨主張する。
しかし,前記2(3)アのとおり,引用例1には,ECUケースが備える突出部に設けられた「凹部は,回路基板の一方の面に取り付けられたTPS,吸気圧力センサおよび吸気温度センサの少なくとも一つのセンサを含む,前記回路基板の一方の面から突出した部材を格納」するという構成は開示されていない。
また,前記2(3)ウのとおり,甲3ないし5の記載から,ECUケースが備える突出部に設けられた「凹部は,回路基板の一方の面に取り付けられたTPS,吸気圧
力センサおよび吸気温度センサの少なくとも一つのセンサを含む,前記回路基板の一方の面から突出した部材を格納」するという構成が,本件特許の出願日当時の技術常識であったということはできない。そして,他に上記構成が本件特許の出願日当時の技術常識であったことを認めるに足りる証拠はない。
したがって,引用発明2Aにおいて,引用例1に基づいて,「ベース47及びカバー17」が外部に突出する凸部状の突出部を備え,前記突出部は内部に設けられ
た凹部を備えるように構成することができたとしても,「前記凹部は,回路基板の一方の面に取り付けられたTPS,吸気圧力センサおよび吸気温度センサの少なく
とも一つのセンサを含む,前記回路基板の一方の面から突出した部材を格納」するという構成を備えるようにすることが,当業者が容易に想到できたものであるということはできない。
よって,本件発明1は,引用発明2Aにおいて,引用例1及び甲3ないし5に基づき容易に発明をすることができたものではないから,本件審決における本件発明1の進歩性に係る判断に誤りはない。 」
(知財高裁4部高部判事、平成29年3月14日)
(2017.3.16. 弁理士 鈴木学)
by manabu16779
| 2017-03-16 12:28
| 特許裁判例
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