2017年 04月 11日
特許 平成28年(行ケ)10188号 既設管補修工法事件(進歩性) |
◆ガス管や水道管の補修工法の発明の進歩性が争点となった事件。進歩性無し。
【拒絶査定不服審判、審決取消訴訟、特許法29条2項】
「 (2) 相違点2の判断
ア 検討
引用発明の補修工法の補修対象である「内圧管」の用途が特定されていない点が,本願補正発明の補修工法と相違するとしたのが相違点2であるところ,下水管が内圧管の用途の一つであることは,原出願の出願時の周知の事項と認められる(甲23,乙1。なお,甲23の発行は原出願の出願後であるが,その内容は,同出願前の事項に係るものである。)。
そうすると,引用発明の内圧管補修工法を下水管の用途に用いる内圧管に適用することは,単なる技術の具体的な適用にすぎず,当業者にとって容易であると認められる。
イ 原告の主張について
(ア) 原告は,引用文献に下水管の例示があるとはいえないと主張する。
しかしながら,当業者は,引用文献に開示又は示唆されるまでもなく引用発明の内圧管補修工法を下水管の用途に用いる内圧管に適用するといえるから,原告の上記主張は,審決の結論を左右する事項について主張するものではない。
(イ) 原告は,内圧管と下水管との技術は相互に転用できるようなものではないと主張する。しかしながら,本願補正発明が容易に想到できるか否かは,内圧管の技術を自然流下式の下水管に適用することが容易であるか否かではなく,内圧管の技術を内圧管である下水管に適用することが容易であるか否かであるから,その主張は,前提を誤るものであり,失当である。
なお,原告の主張によっても,内圧式下水管は,全国に3000km 弱は存するというのであり,これは,膨大な長さとなる国内の下水管総延長と対比すればわずかであるとしても,絶対量としてわずかなものとはいい難く,当業者が,内圧管である下水管を想起し得ないとはいえない。
したがって,原告の上記主張は,採用することができない。
(ウ) 原告は,本願補正発明の構成は,格別の効果を奏すると主張するが,内圧管の補修工法である引用発明の補修工法を,内圧管である下水管に適用しても,その奏する効果は同等であるから,当業者において予測可能なことにすぎない。
したがって,原告の上記主張は,採用することができない。 」
吉佳エンジニアリング
(知財高裁2部森判事、平成29年3月28日、審×→裁×)
(2017.4.11. 弁理士 鈴木学)
by manabu16779
| 2017-04-11 12:52
| 特許裁判例
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