2017年 04月 25日
特許 平成28年(行ケ)10176号 分光光度計事件(審決取消訴訟) |
◆分光光度計についての発明の進歩性が争点となった事件。進歩性無し。
【拒絶査定不服審判、審決取消訴訟、相違点の認定、容易想到性、特許法29条2項、独立特許要件】
(進歩性)
「 (2) 相違点2及び3の判断
引用発明に上記の引用例2記載事項を適用し,回転セクタ鏡を用いた分光光度計においてDCブラシレスモータを用いてセクタ鏡を回転させる場合には,モータの回転数に応じて適切な遅延時間及び積分時間すなわち測定期間に係る測定時間を選択すべきことは明らかである。
また,一般に,引用発明のような回転セクタ鏡を用いた分光光度計における遅延時間,測定時間の設定において,回転セクタ鏡が有する複数の異なる領域(扇形片)ごとに分けて行うと,より精度の高い検出が行える反面,構成に係る負担が大きくなり,逆に,遅延時間及び測定時間の設定を一律に行えば,構成上の負担を低減できる一方で,検出を精度よく行えないこととなることも明らかである。 さらに,引用例1の記載Aには,サンプル微小信号の発生時間と基準微小信号の発生時間とが異なってもよいことが記載されており,この場合に,サンプル微小信号と基準微小信号の測定時間を同一にするためには,遅延時間を異ならせるなど,遅延時間,測定期間及び測定時間を変化させて調整することが想定される。
そうすると,回転セクタ鏡を用いた分光光度計における遅延時間及び測定期間の設定を扇形片ごとに分けて行うか一律に行うかは,当業者がこれを実施する際に,各領域におけるデータの測定という目的を達成できるよう適宜定めるべき事項である。
そして,微小信号を測定しそれに係る遅延を設ける引用発明において上記のような設定を行うのであれば,そのための設定部や記憶部を当然に設けることになるものと解される。
したがって,引用発明において,相違点2及び3に係る本件補正後発明の構成を採用することは,必要に応じて適宜行われるべきものであって,当業者が容易に想到し得たものであると認められる。」
島津製作所
(知財高裁2部森判事、平成29年4月11日)
(2017.4.25. 弁理士 鈴木学)
by manabu16779
| 2017-04-25 21:18
| 特許裁判例
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