2017年 05月 09日
商標 平成27年(ワ)7787号 観光甲子園事件(侵害訴訟) |
◆形式的には商標権の侵害に該当するものの、過失の推定(準特103)が覆され、損害賠償請求は認められなかった事件。
【ホームページ、商標の使用、商標権侵害、過失の推定、商標の使用許諾を信じorそう信じるにつき正当な理由がある場合、ライセンス、引渡請求】
(違法性及び過失の有無について )
「 (2) 争点2(違法性及び過失の有無)について
ア ホームページにおける本件商標の使用について
(ア) 被告がホームページで本件商標を使用した行為については,前記のとおり,商標権侵害を構成するから,過失が推定される(商標法39条,特許法103条)。
ところで,商標権侵害について過失が推定されることとされた趣旨は,商標権の内容については,商標公報,商標登録原簿等によって公示されており,何人もその存在及び内容について調査を行うことが可能であること等の事情を考慮したものと解される。このことに鑑みると,侵害行為をした者において,商標権者による当該商標の使用許諾を信じ,そう信じるにつき正当な理由がある場合には,過失がないと認めるのが相当である。
(イ) 本件では,・・・略・・・
そして,通常,登録商標の使用を許諾しない相手方に対して当該商標のロゴのデータを送付するとは考え難い上,本件商標の使用に至るまで,本件事業の承継について原告が異議を述べることがなかったため,被告においては,P3から本件商標のロゴのデータを送付されることによって,本件商標権の移転に関する原告の理事会決議に先行して原告から本件商標を使用することがあらかじめ許諾されていたと受け止めるのも無理はなかったというべきである。
・・・略・・・
(エ) 以上からすると,被告には,原告から平成27年5月に本件商標の使用を指摘されて,その買取りを求められるまでの間,ホームページに本件商標を使用するに当たり,本件商標権の移転に関する原告の理事会決議に先行して本件商標を使用することを原告からあらかじめ許諾されており,必要な事項については原告内部でしかるべき手続が執られ,又は執られることになると信じ,また,そう信じるにつき正当な理由があったというべきであるから,被告による本件商標の使用には過失がなかったものと認めるのが相当である。」
夙川学院、追手門学院
(大阪地裁26部高松裁判長、平成29年4月10日)
(2017.5.9. 弁理士 鈴木学)
by manabu16779
| 2017-05-09 14:08
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