2017年 07月 03日
特許 平成28年(行ケ)10226号 美顔器事件(進歩性) |
◆美顔器の発明の進歩性に関し、課題/技術分野/作用機能が異なり引例どうしの組合せの動機付けが無いとして、進歩性が肯定された事件。
【進歩性、外観が見苦しいという課題、組合せの動機付け、課題/分野/作用効果、無効審判、審決取消訴訟、特許5329608号】
(進歩性)
「 (2) 引用発明と甲3発明との組合せの動機付けについて
ア 発明の課題
甲2文献の「デスクトップ器体としてその前板にて後部に直立した炭酸ガス供給用ボンベを遮蔽して違和感を無くする」(【0006】)との記載,及び甲10からは,美顔器や観賞用水槽装置のように家庭内で利用される器具については,むき出しのガスボンベの外観が見苦しいという課題があることは認められるものの,用途を問わないガスボンベ一般についても当該課題があるとまでは認めることができない。
これに対し,甲3発明の燃性ガスボンベ及び支燃性ガスボンベは,彫金などにおける微細な蝋付けや溶接作業のための携帯用トーチに装着されるものであるから,必ずしも家庭内で利用される器具に用いられるものとはいえない。そうすると,これらの燃性ガスボンベ及び支燃性ガスボンベがむき出しになっていたとしても,その外観が見苦しいという課題が直ちに生じるということはできず,燃性ガスボンベ及び支燃性ガスボンベが収納ケース1及び蓋体1dからなる収納容器に収納されているとしても,その収納容器は,むき出しのガスボンベの外観が見苦しいという課題を解決するものとはいえない。
イ 技術分野
引用発明の属する技術の分野は美顔器であり,甲3発明の属する技術分野は携帯用トーチである。
ウ 作用・機能の共通性
引用発明は炭酸ガス混合化粧水を噴霧する装置であるのに対し,甲3発明は燃性ガスと支燃性ガスとの混合ガスを燃焼させて微細な火焔を形成し,彫金などにおける微細な蝋付けや溶接作業を行うための装置であり,ガスを噴出させる目的に何ら共通するところがないから,両者の作用,機能が共通するとはいえない。
エ 小括 以上のとおり,引用発明と甲3発明とは,その発明の課題,技術分野及び作用・機能が異なるから,その余の点について判断するまでもなく,引用発明に甲3発明を組み合わせる動機付けがあるとはいえない。
(3) 以上より,引用発明に甲3発明を組み合わせることができないから,相違点4~6に係る本件発明1の構成を引用発明に採用することができない。取消事由1(1-1及び1-2を含む。)は,その余の点について判断するまでもなく,理由がない。 」
by manabu16779
| 2017-07-03 21:56
| 特許裁判例
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