2017年 08月 10日
特許 平成28年(ワ)14868号 人脈関係登録システム事件(侵害訴訟) |
◆SNSのユーザどうしの関連付けの特許に関し、mixiのマイミク機能が当該特許権を侵害するかが問題となった事件。構成要件充足せず、非侵害。
【特許権侵害、特§70、技術的範囲、「~とき」の解釈(条件的/時間的)、特許3987097、特許3987098、サーバ、関連付けを行うタイミング】
(技術的範囲の属否)
「…そうすると,構成要件1D及び1Fの「送信したとき」における「とき」が「ある程度の幅をもった時間」を意味するものということはできない。また,本件明細書等1をみても,「送信したとき」の「とき」について,「条件」ではなく「時間」を意味することをうかがわせる記載はない。 したがって,原告の上記主張は採用することができない。
エ 以上から,構成要件1D及び1Fの「送信したとき」とは,「送信したことを条件として」という意義であると認めることが相当である。
(2) 被告サーバの構成
ア 次に,証拠(乙25ないし27)によれば,被告サーバにおいて,会員Aと会員Bの人間関係を記憶するプロセスとしては,①被告サーバが,会員Aの会員Bに対するマイミク追加リクエストを受信する,②被告サーバが,会員Aの会員Bに対するマイミク追加リクエストを会員Bに通知する,③会員Bが被告サービスの画面上の「マイミクに追加する」をクリックして会員Aからの「マイミク追加リクエスト」を承認する,④被告サーバが会員Aと会員Bを「マイミク」として記録する,⑤被告サーバが,会員Aに対し,「マイミク追加リクエスト」が承認されたことを通知する,というものであることが認められる。ここで,被告サービスにおいて「マイミクになる」ことは,本件発明1において「人間関係を結ぶ」ことに該当し,被告サービスにおける「マイミク追加リクエスト」を承認した旨の通知は,本件発明1における「第二のメッセージ」に該当し得る。
イ また,被告のヴァンテージスタジオmixiシステム部部長甲作成の陳述書及び同陳述書添付のソースコードの記述(乙25)によれば,被告サービスのプログラムにおいては,被告サーバが有する記憶手段により,会員Aと会員Bがマイミクとして記憶されたことを条件として,会員Aに対し,「マイミク追加リクエストの承認」を通知するという処理がされていることが認められる。
そして,上記の処理においては,被告サーバにおいて,仮に会員Aと会員Bがマイミクとして記憶された後に,何らかのエラーが生じて,会員Aに対し「マイミク追加リクエスト」が承認された旨の通知がされなかったとしても,被告サーバにおいては,会員Aと会員Bがマイミクであると記憶されるということになる。
(3) 構成要件充足性
以上からすると,被告サーバは,第二のメッセージを受信したことを条件として「マイミク」であることを記憶し,「マイミク」である旨の記憶をしたことを条件として「第二のメッセージ」を送信するという構成を有しているものであって,第二のメッセージを送信したことを条件として「マイミク」であることを記憶するという構成を有するものではないと認められる。
したがって,被告サーバは,「第二のメッセージを送信したとき」に「上記第一の登録者の識別情報と第二の登録者の識別情報とを関連付けて上記記憶手段に記憶する手段」を有しているということはできないから,その余の点について判断するまでもなく,構成要件1D及び1Fを充足しない。
よって,被告サーバは,本件発明1の技術的範囲に属しない。 」
メキキ、ミクシィ
(東京地裁40部東海林裁判長、平成29年7月12日)
(2017.8.10. 弁理士 鈴木学)
by manabu16779
| 2017-08-10 06:44
| 特許裁判例
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