2017年 08月 22日
特許 平成28年(行ケ)10119号 ワイパモータ事件(進歩性) |
◆車両のワイパ用のモータの発明に関する進歩性が問題となった事件。引例に内在する課題等が認定され、容易想到と判断。
【無効審判、審決取消訴訟、進歩性、特許法29条2項、容易想到性、内在する課題、4極直流モータ、リップルの低減】
(容易想到性)
「 …そうすると,甲1発明は,4極直流モータである以上,重巻を採用しているものと解され,4極直流重巻モータであると認められる。
イ 直流モータが回転力を維持し続けるには,整流子とブラシによって得られる整流作用が不可欠であるから,直流モータにおいて,ブラシ整流作用を良好に保つことは,当然に達成しなければならない課題である。したがって,当該課題は,直流モータである甲1発明においても,内在する課題ということができる。
そして,前記(1)ア(ア)のとおり,+電位に接続される2個のブラシ及び-電位に接続される2個のブラシを備える4極重巻モータにおいて,ブラシ整流作用の悪化等の問題点を解決するために均圧線を設ける甲2従来技術が技術常識であることからすると,同じく同電位に接続された2個のブラシを複数組備える4極重巻モータであり,ブラシの整流作用を良好に保つという課題が内在する甲1発明においても,甲2従来技術と同様の均圧線を設けることは,当業者が容易に想到し得ることといえる。
以上によると,甲1発明において相違点2に係る「それぞれ互いに同電位となるべき整流子片同士を電気的に接続する接続線を有する」という本件発明1の構成とすることは,甲1発明に甲2に記載された事項(甲2従来技術)を適用することにより当業者が容易に想到し得たことと認められる。 」
アスモ、ミツバ
(知財高裁2部森判事、平成29年8月3日)
(2017.8.22. 弁理士 鈴木学)
by manabu16779
| 2017-08-22 13:25
| 特許裁判例
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