2017年 09月 06日
特許 平成28年(行ケ)10271号 ソーラーポスター事件(進歩性) |
◆暗所で発光するポスターの発明の進歩性が争われた事件。進歩性なし。
【特許法29条2項、動機付け、補正要件、補正却下、17条の2第5項、拒絶査定不服審判、審決取消訴訟】
(進歩性)
「ウ 引用発明1に引用発明2及び引用発明3を適用することの動機付け
(ア) 引用発明2に係る選挙用ポスターは,用紙裏面に,接着剤等の粘着剤層を介して剥離紙を積層するとともに,剥離紙には,上下及び左右両側部に,個々の剥離紙に分離する切目を形成したものである。このポスターは,貼着場所,貼着面の状態,貼着期間に応じて必要とする剥離紙(全部でもよいし,一部でもよい。)を切目によって剥がして貼着することで,ポスターを貼る作業を容易にすることができる(前記ア(ア))。
そして,引用発明2は,引用発明1と同じく選挙用ポスターに関するものである。また,貼付けを容易にすることは,ポスターである以上,引用発明1も当然に有する自明の課題である。そうすると,引用発明1のポスターの貼付けを容易にするために,引用発明2を適用する動機付けが存在すると認められる。 なお,引用発明2は,個々の剥離紙を剥がして貼着する際の手順について特定するものではない。しかし,前記イのとおり,引用発明3のラベルシート3は,対象物(配送物)にラベル31を貼付する際に,剥離紙を剥がさない状態で貼付位置合わせを行い,剥離紙32に形成された切り込み322の,例えば,狭い方の剥離紙を先に剥がしてラベルの一部を接着した後,残りの剥離紙を剥がしてラベルの残り部分を貼付するようにして使用されるものであり,相違点2に係る貼着手法と変わるところはない。そして,このような貼着手法は,切り込みを有する剥離紙を個々に剥がして貼着する際の常套手段であると認められるから,引用発明2においても採用できるというべきである。
そうすると,引用発明1に引用発明2を適用するに際して,引用発明3の常套的な貼着手法を採用し,相違点2に係る構成とすることは,当業者が容易に想到し得たものである 。 」
ドクター中松創研
(知財高裁4部高部判事、平成29年8月29日)
(2017.9.6. 弁理士 鈴木学)
by manabu16779
| 2017-09-06 19:19
| 特許裁判例
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