2017年 09月 17日
特許 平成28年(行ケ)10210号 太陽電池モジュール事件(進歩性) |
◆太陽電池モジュールの構造に関する発明の進歩性が問題となった事件。進歩性無し。
【進歩性、動機付け、29条2項、拒絶査定不服審判、審決取消訴訟】
(容易想到性)
「 …そうすると,引用発明1において,接続部材50に入射される光を反射させて太陽電池の前面基板に向かわせ,前面基板で再反射させて太陽電池の表面から入光さ
せるために,接続部材50に対するエンボス加工によるVグルーブを形成することと,緩衝材14を太陽電池10と太陽電池10の間の接続部材50にも延出するような位置に設けることとを組み合わせると,緩衝材14が,太陽電池10と太陽電池10の間の接続部材50に形成されたVグルーブを覆うように位置する部分が生じると解される。
そして,本願発明の特許請求の範囲請求項1では,「絶縁部」は,「前記第1太陽電池及び前記第2太陽電池の間の前記リボンの前記少なくとも一部に位置する少なく
とも一つの凹凸を覆うように位置される」と特定されるところ,「前記第1太陽電池及び前記第2太陽電池の間の前記リボン」とは,リボンが複数の太陽電池と太陽電池の間に位置することを意味すると解するのが文理上も自然である上,太陽電池と太陽電池の間に入射する光を反射させて太陽電池に入光し,光を有効利用するとの本件発明の目的に照らしても,太陽電池と太陽電池の間に位置するリボンに入射する光の有効利用が図られてしかるべきであるから,リボンは,太陽電池と太陽電池の間に位置するものであると解される。その上で,請求項1には,かかるリボンの「少なくとも一部で,前記絶縁部又は前記複数の太陽電池と隣接した前記リボンの一面に傾斜面を有し,入光面に形成される複数の凹凸を含」み,「絶縁部」が,「前記第1太陽電池及び前記第2太陽電池の間の前記リボンの前記少なくとも一部に位置する少なくとも一つの凹凸を覆うように位置される」ことが特定されているのであるから,「絶縁部」は,太陽電池と太陽電池の間に位置するリボンの少なくとも一部に形成された複数の凹凸の少なくとも1つの凹凸を覆うように位置されるものと解される。
したがって,本願発明は,引用発明1において,太陽電池10と太陽電池10の間に位置する接続部材50に対しエンボス加工によるVグルーブを形成することと,緩衝材14を太陽電池10と太陽電池10の間の接続部材50に延出する位置に設けることを組み合わせることにより,緩衝材14が,太陽電池10と太陽電池10の間の接続部材50に形成されたVグルーブを覆うように位置されるのと同じ構成を備えているから,引用発明1において,引用発明2の記載に基づき,相違点2に係る本願発明の構成を備えるものとすることは,当業者が容易に想到できたものと認められる。 」
エルジー エレクトロニクス
(知財高裁4部高部判事、平成29年9月12日)
(2017.9.17. 弁理士 鈴木学)
by manabu16779
| 2017-09-17 10:56
| 特許裁判例
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