2017年 10月 12日
不競 平成28年(ワ)39582号 重量 検品ピッキングカート事件(2条1項1号) |
◆物流センターで商品を収集するのに使われるカートの形態が周知な商品等表示として保護されるかが争点となった事件。保護されず。
【2条1項1号、周知な商品等表示、形態、ありふれた形態+ありふれた形態】
(商品等表示 -規範-)
「(1) 商品の形態と商品等表示性
不正競争防止法2条1項1号にいう「商品等表示」とは,「人の業務に係る氏名,商号,商標,標章,商品の容器若しくは包装その他の商品又は営業を表示するもの」をいうところ,商品の形態は,商標等と異なり,本来的には商品の出所を表示する目的を有するものではないが,商品の形態自体が特定の出所を表示する二次的意味を有するに至る場合がある。そして,商品の形態自体が特定の出所を表示する二次的意味を有し,不正競争防止法2条1項1号にいう「商品等表示」に該当するためには,①商品の形態が客観的に他の同種商品とは異なる顕著な特徴を有しており(特別顕著性),かつ,②その形態が特定の事業者によって長期間独占的に使用され,又は極めて強力な宣伝広告や爆発的な販売実績等により,需要者においてその形態を有する商品が特定の事業者の出所を表示するものとして周知になっていること(周知性)を要すると解するのが相当である。 」
(当てはめ)
「 エ 特別顕著性についての小括
上記イ及びウのとおり,本件特徴①’及び②は,いずれもありふれた形態というべきであり,客観的に他の同種商品と異なる顕著な特徴とはいえない。なお,ありふれた形態を併せただけでは,顕著な特徴とはいえないし,そもそも,上記イ及びウのとおり,本件特徴①’及び②の両方を備える他の同種製品も,被告製品の販売開始時までに存在している(株式会社イシダの「さいまるカート」(乙4及び乙5),株式会社IHIエスキューブの「計量検品ピッキングカート(4ハカリ)」(乙6),株式会社椿本チエインの「つばきクイックカート」(乙11))。
したがって,原告の主張を善解してもなお,原告商品の形態は,客観的に他の同種商品とは異なる顕著な特徴を有しているということはできず,不正競争防止法2条1項1号の商品等表示には当たらない。 (なお,上記認定のとおり,本件特徴①’及び②は,原告により独占的に使用されてきたとは認められないし,また,原告の製造販売する重量検品ピッキングカートに係るカタログ(甲1~4)及び広告記事等(甲5の1ないし12,6,17~50)においても,本件特徴①’及び②が商品の特徴として強調されているとは認められないから,これらの事情によれば,本件特徴①’及び②が原告の商品等表示として周知になっているとも認められない。) 」
ユニパルス、島津エス・ディー
(東京地裁47部沖中裁判長、平成29年9月28日)
(2017.10.12. 弁理士 鈴木学)
by manabu16779
| 2017-10-12 19:18
| 不正競争防止法
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