2017年 10月 19日
特許 平成28年(行ケ)10264号 ショベル事件(進歩性) |
◆複数のカメラで作業領域を撮像して俯瞰画像を作成するショベルの発明に関し、進歩性が問題となった事件。進歩性なし。
【進歩性、特許法29条2項、画像処理、周知技術、拒絶査定不服審判、審決取消訴訟】
(進歩性)
「 (ウ) 以上のとおり,引用発明における俯瞰画像を作成するプロセスでは,隣接するカメラ画像が相互に重なる領域を有し得,かつ,この作成に当たっては公知の方法を採り得るものであって,必ずしもそれぞれの画像を境界部で切り取る方法によるのみでなく,境界の重複領域において周知のブレンディング技術を用いることも可能であったと認められる。一方,本願発明は,重複領域に対応する出力画像部分の具体的な合成方法の特定はなく,周知技術であるブレンディングによる合成を排除するものではないし,重複領域に対応する出力画像部分の範囲についても特段の特定がなく,表示範囲の一部において重複領域に対応する出力画像部分を有することを排除するものでもない。
したがって,相違点1に係る構成については,引用発明に俯瞰画像の作成において周知の技術を適用することにより,当業者が容易に想到し得たものであるし,このように周知技術を適用する動機付けも十分にあったものということができる。
また,表示装置の画像の表示は,出力画像を基になされるものである以上,相違点2に係る構成についても,当業者が容易に想到し得たものであるし,周知技術適用の動機付けもあったといってよい。
(エ) 以上より,本願発明は,引用発明及び周知技術に基づき,当業者が容易に想到し得たものであるから,法29条2項により,特許を受けることができないものである。この点に関する本件審決の判断に誤りはなく,取消事由2及び3はいずれも理由がない。 」
住友重機械工業
(知財高裁3部鶴岡判事、平成29年9月25日)
(2017.10.19. 弁理士 鈴木学)
by manabu16779
| 2017-10-19 12:09
| 特許裁判例
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