2017年 12月 12日
特許 平成29年(ワ)393号 衣服の汚れ防止シート事件(侵害訴訟) |
◆KIRIBAIの「エリもとひんやりシート」が特許権を侵害しているか否かが争われた事件。構成要件充足せず、非侵害。
【技術的範囲、特許法70条、文言侵害】
(構成要件充足性)
「イ 上記ア の認定事実によれば,剥離紙を除く被告製品に一定量のシリカが含まれているということができる。
しかし,前記前提事実⑶のとおり,剥離紙を除く被告製品には不織布以外の層があるところ,上記ア の計量においては,剥離紙を除く被告製品全体を試料としているから,不織布の表面以外の部分に含まれるシリカが検出された可能性を否定することができない。加えて,同 の試験においては,被告製品から剥離紙,粘着剤及び粘着剤のついたフィルムを除いた試料からシリカが検出されることはなかったこと,同 のとおり被告製品の不織布層の表面において乾燥剤に該当し得ない物体以外のものが検出されなかったことにも鑑みると,被告製品の不織布の表面にシリカが付着していると認めることはできない。また,被告製品に一定量のシリカ(SiO 2 )が含まれているとしても,それが吸収性,吸着性を有するものとして被告製品に存在することを認めるに足りる証拠もない。
⑷ 原告は,不織布のみでは汗の吸収等の効果を奏し得ないことを前提に,被告製品の包装の表示(「汗を素早く吸収」,「サラサラ快適に」)に照らせば,被告製品に何らかの吸着・乾燥剤が含まれていると主張する。しかし,不織布のみでは汗の吸収等の効果を奏しないことを認めるに足りる証拠はない。むしろ,本件明細書(甲2)によれば,多数の微小孔を形成してメッシュ状に成形した不織布シート及び吸着・乾燥剤はいれもが表面に付着したほこり,汗等を吸収,吸着するものとされていること(段落【0017】,【0018】,【0020】)からすれば,上記の不織布シートのみでも一定程度の汗の吸収,吸着等の効果を奏することがうかがわれ,上記の包装の表示から被告製品の不織布層の表面に何らかの吸着・乾燥剤が含まれていると認めることはできない。また,原告は,前記⑶ア の結果について,同試験のエチルアルコール処理により不織布からシリカが脱落した旨主張するが,仮に脱落の可能性があるとしても,同試験において脱落した事実を認めるに足りる証拠はない。
原告の主張はいずれも採用し難い。
⑸ したがって,被告製品は構成要件Aの「表面に吸着・乾燥剤を付着させた」を充足しない。 」
アロマスペース、桐灰化学
(東京地裁46部柴田裁判長、平成29年11月30日)
(2017.12.12. 弁理士 鈴木学)
by manabu16779
| 2017-12-12 13:37
| 特許裁判例
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