2017年 12月 28日
特許 平成28年(行ケ)10267号 光学的および電磁気学的効果補助層の制御手法事件(新規性) |
◆発光素子の量子ドット形成に関する発明の新規性が問題となった事件。新規性無し。
【29条1項3号、拒絶査定不服審判、審決取消訴訟】
「(1) 取消事由1
ア 前記1(2)の認定事実及び証拠(乙6〔訳文2頁8行目から17行目まで〕)によれば,引用発明1における液滴エピタキシー法は,基板上にガリウムのみを供給してガリウムの液体金属微粒子である液滴を作製した後,砒素を供給して当該液滴をガリウム砒素に結晶化させ,一つの液滴が量子ドットとなるように量子ドットを作製する手法であって,これらのガリウム及び砒素は,分子線照射により基板に供給されるものである。そうすると,液滴エピタキシー法においては,ガリウムの液滴が生じる場所を制御することはできないため,最終的に生じるガリウム砒素結晶からなる量子ドットは,基板上において,水平方向にはランダムに配列しているといえる。そして,前記1(2)の認定事実によれば,引用発明1においては,このような量子ドットが設けられている層は,2層存在するものと認められる。
これらの事実によれば,引用発明1は,ランダムに配列された量子ドットの平面層が2層設けられているのであるから,本願発明における「微粒子が平面内でランダムに配列した平面構造が複数積層された構造体」に該当するものと認められる。
したがって,相違点1は,引用発明1に開示されているといえるから,本願発明は引用発明1と同一であると認定した審決の判断に誤りはない。 」
(知財高裁1部清水判事、平成29年12月13日)
(2017.12.28. 弁理士 鈴木学)
by manabu16779
| 2017-12-28 12:12
| 特許裁判例
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