2019年 01月 22日
著作 平成30年(ワ)第6943号 マニュアル事件 |
◆マニュアルの著作物性が争点となった事件。著作物性なし。
「⑵ 当裁判所の判断ア 著作物は,思想又は感情を創作的に表現したものであって,文芸,学術,美術又は音楽の範囲に属するものをいう(著作権法2条1項1号)ところ,創作的に表現さ5 れたというためには,厳密な意味で独創性が発揮されたものであることは必要ではなく,作成者の何らかの個性が表現されたもので足りるというべきであるが,他方,文章自体がごく短く,又は表現上制約があるため他の表現が想定できない場合や,表現が平凡かつありふれたものである場合には,作成者の個性が表現されたものとはいえないから,創作的な表現であるということはできない。10 イ これを本件についてみるに,前記第2の2前提事実⑵及び前記⑴に認定したとおり,本件マニュアルは,本件システムの機能や操作方法の説明を目的として作成されたものであり,その作成目的に従い,本件コメントは,各頁に表示された本件システムの画面の内容を説明し,同画面に関連する本件システムの機能を説明し,又は同画面に関連する本件システムの操作といった客観的事実を説明することを目的とし15 て作成されており,その性質により,機能や操作方法を分かりやすく,一般的に用いられるありふれた表現で示すことが求められることから,表現の選択の幅は狭いものである。そして,本件コメントでは,本件システムの機能等を説明するためにコンピュータに関する用語が選択されているものの,当該説明において他の表現を用いることは想定し難く,また,その他の表現も操作等を説明するものとして特徴的な言い回20 しが存するともいえない。そうすると,本件コメントに原告の個性が表現されているとはいえないのであって,本件マニュアルに著作物性があるということはできない。これに反する原告の主張は採用することができない。 」
(東京地裁29部山田裁判官、平成30年12月12日)
(2019.1.22. 弁理士 鈴木学)
by manabu16779
| 2019-01-22 19:20
| 著作権法
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