2020年 10月 26日
商標 令和元年(行ケ)第10143号 櫛孔位置商標事件 |
◆複数の孔のあいた櫛の識別力が問題となった事件。識別力無し。
(識別力について)
【位置商標、3条1項6号、3条2項】
「⑶ 本願商標の識別力
整髪又は調髪に用いる櫛は,理美容道具としての性格上,その機能性が重視されるものと考えられるところ,取引の実情においても,櫛の背骨部の位置に一定間隔で模様,窪み又は貫通孔等を設けることにより,それらを目盛り代わりに用いる,指のすべり止めとしての機能を果たさせる,しなりを生み出し,使いやすさを向上させるなどといった,機能向上のための工夫がされ,それらの工夫が宣伝されている実情があることが認められる(乙5~17)。したがって,カットコームの背面部の貫通孔も,一般的には,機能向上のための工夫として認識されるのが通常であり,自他商品の識別標識としての特徴であると理解されるものではないといえる。
また,このことは本願商標に係る貫通孔が設けられたカットコームについても同様であり,商品の紹介で強調されているのは,「硬さとしなやかさを両立するための『エアーサスペンション機能(1センチ間隔で空いた背面の穴)』」などといった機能面での工夫であって,貫通孔に自他商品識別標識としての機能があることは,何ら言及されていない(乙23~25)。そうすると,これらの記述に接した需要者は,一般的には,上記貫通孔は,機能向上のための工夫として設けられているものと認識するのが通常であって,これを自他商品の識別標識と認識するとは考え難いところである。
⑷ 以上に検討したところによれば,本願商標の構成は,指定商品の需要者として想定される一般消費者の注意力に照らしてみたとき,構成自体として,識別力を備えたものとはいえない。」
(2020.10.26. 弁理士 鈴木学)
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by manabu16779
| 2020-10-26 20:36
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