2017年 03月 24日
不競 平成22年(ワ)15903号 ポケットデジタル万歩計事件(ちょっと古い) |
◆デジタル万歩計のデッドコピーが認められた事件。
【2条1項3号、万歩計、Peb、損害賠償】

(実質的同一か否か)
「 原告商品(検甲1)の形態と被告商品(検甲2)の形態とを対比すると,両者は,「全体を四隅が丸い薄厚長方板状ケースにしたデザインである」点(A,A’),「ケースの周全体にR(丸み)を持たせている」点(B,B’),「外装の上側(上ケース)は,製品内側面を黒色印刷した透明のプラスチック素材を用い,外装の下側(下ケース)は,黒色のプラスチック素材を用いている」点(C,C’),「厚みとなる四周側面全周をシルバーのベルトが回り,四隅の一つにストラップ挿入孔が形成されている」点(D,D’),「正面左方に液晶表示部が設けられ,該液晶表示部は3画面に分割表示している」点(E,E’),「正面右方には,中央大きめのシルバーのボタンと,同中央ボタンから三方に放射状に並べた三つの楕円形のシルバーのボタンが配され,該三つの楕円形ボタンの周囲には,隅丸矩形の稜線が表れる凹陥部が設けられている」点(F,F’)といった基本的な構成において共通し,全体サイズ(幅×高さ×厚さ)及び液晶表示部のサイズ(幅×高さ)も,被告商品が「0~2㎜の範囲内」で大きいだけで(A,A’,E,E’),ほとんど同一であることによれば,被告商品と原告商品は,商品全体の形態が酷似し,その形態が実質的に同一であるものと認められる。
(イ) もっとも,原告製品と被告製品は,操作ボタンの形状及び配置構成(F,F’)に関し,①三つの楕円形ボタンが,原告製品は,中央ボタンの右斜め上,右斜め下及び「左斜め下」に配置されているのに対し,被告製品は,中央ボタンの右斜め上,右斜め下及び「左斜め上」に配置されている点,②中央ボタンの形状が,原告製品は隅丸四辺形であるが,被告商品は円形である点,③楕円形ボタンの形状が,原告製品は長楕円であるが,被告商品は端部が尖った楕円である点,④中央ボタンの表面文字が,原告製品は,「設定」の漢字2文字であるのに対し,被告製品は,「MODE」の英字4文字である点で相違する。
しかし,①の点は,三つの楕円形ボタンのうち,二つの配置は共通し,一つの配置が「左斜め下」か,「左斜め上」かの相違であり,三つの楕円形ボタンを中央ボタンから三方に放射状に配置するという基本的な構成が共通し,楕円形ボタン自体の形状もほとんど変わらないことに照らすならば,商品の全体的形態に与える変化に乏しく,商品全体からみるとささいな相違にとどまるものと認められるから,原告商品及び被告商品の形態の実質的同一性の判断に影響を及ぼすものではない。
また,②ないし④の点も,商品全体からみるといずれもささいな相違であって,両商品の形態の実質的同一性の判断に影響を及ぼすものではない。」
(東京地裁46部大鷹裁判長、平成23年6月17日)
(2017.3.24. 弁理士 鈴木学)
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by manabu16779
| 2017-03-24 22:47
| 不正競争防止法
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